症状
- 主な症状
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- 咳
- 血痰
- 発熱
- 息苦しさ
- 動悸
- 胸痛
肺がんは、この症状があれば肺がんというような特有の症状はありません。また、症状がほとんど出ない場合もあるため早期発見が難しい病気です。
代表的な症状は咳や痰、発熱、息苦しさ、胸の痛みなどが挙げられます。特定の原因がないのに症状が2週間以上続く、痰に血が混じる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
がんが進行し転移すると、頭痛や背中の痛みなどが現れることがあります。
診断方法
- 主な検査
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- 胸部X線検査
- 胸部CT検査
- 喀痰細胞診
肺がんの診断にはいくつかの方法があります。
画像診断
肺に異常な影があるかどうかを調べるには、胸部X線写真や胸部CT検査があります。胸部X線検査もいまだにスクリーニング検査として不可欠ですが、胸部CT検査でしか見つからないような肺がんも増加傾向にあります。
画像診断としてはこのほかに、MRI検査、シンチグラム、PET-CT検査などが知られていますが、肺がんの広がりを調べる目的の検査であり、本当に肺がんか否かの判断材料にはなりません。
確定診断
本当に肺がんかどうかの診断には、顕微鏡でがん細胞を見つける検査が必要です。以下の検査方法が代表的です。
- 気管支鏡生検・細胞診
- 喀痰細胞診
- CTガイド下生検
- 胸腔鏡下生検・細胞診
画像診断や確定診断の他に、重喫煙者には喀痰細胞診もスクリーニング検査として大切な診断方法です。
また、採血による血中腫瘍マーカー検査を補助診断として行いますが、上昇していてもがんで無いケース・がんでも上昇しないケースなどがしばしば認められます。
肺がんの血中腫瘍マーカー (代表例)
- CEA
- CA19-9
- シフラ
- SCC
- NSE
- ProGRP
治療方法
がんの進行具合に応じて色々な組み合わせで実施します。手術療法が可能な肺がんでも症例に応じた手術法が選択されます。
手術療法
- 対象
-
- Ⅰ期、Ⅱ期の非小細胞肺がんとⅠ期、ⅡA期の小細胞肺がん
- 健康状態を総合的に判断して、手術に耐えられる体力がある場合
手術の種類
胸腔内へのアクセス方法には2種あります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、患者さんに最適な方法を選択しています。
- 胸腔鏡手術
- 開胸手術
肺切除の方法
切除する範囲に応じて複数の手術法があります。
解剖学的切除
- 一側肺全摘
- 肺葉切除(定型的手術)
- 区域切除(縮小手術)
非解剖学的切除
- 肺部分切除(縮小手術)
リンパ節郭清
手術の際に、転移の可能性や再発予防を目的にがんだけでなくがんの周辺にあるリンパ節を切除する方法です。早期肺がんでは不要となる場合や選択的郭清の症例もあります。
肺がんの手術適応(手術療法を行うか否か)の判断
手術療法を行えるかどうかの判断基準としては、下記の2点が重要となります。
- 肺がんの進行具合
- 患者さん個人の肺機能をはじめとした予備力
肺がんの進行具合:TNM因子
肺がんの進行具合を判断するための方法として「TNM分類」があります。TNM分類はT因子・N因子・M因子の3つからなり、それらを総合的に評価して病期(ステージ)を決定しています。
- T因子
- 肺がんの状況(大きさや部位など)
- N因子
- リンパ節転移
- M因子
- 遠隔転移
末梢小型肺がんの手術について
最近増加傾向にある末梢小型肺がんに対しては、胸腔鏡下の手術(胸腔鏡手術)が大半を占めています。当院では、下記の方針にて手術を行っています。
- 術中迅速診断で確定診断
- 症例に応じて縮小術式を選択
- 切除肺組織量を定型術式より少なくする
- リンパ節郭清も選択的に
放射線療法
- 目的
-
- 根治的治療
- 緩和的治療
- 予防的治療
肺がんに対する放射線治療は非常に大きな役割を果たします。基本的にはリニアックという治療装置で体の外からX線をあてる外部照射法を用います。放射線をどの方向からどの程度の強さであてるかは、治療計画用のCTを行い、そのデータを用いて放射線治療医がその疾患治療に必要な放射線の量や正常臓器の副作用のリスクを考慮して総合的に決定します。
非小細胞肺がん、小細胞肺がんで治療法が異なります。放射線治療の適応についてはがんの転移があるかないか、あるとしたらどこに転移しているかで大きく変わってきます。
非小細胞肺がん
根治的治療
Ⅰ期~Ⅱ期で手術を希望されない方や高齢・心肺機能の低下などの理由で手術困難な方、Ⅲ期で手術困難な方の一部でがんに対する「根治的放射線治療」を行います。
特にⅠ期のようながんが小さく限局しているような病変に対しては「体幹部定位照射」という、病変のみをピンポイントで狙い撃ちするような治療が効果的で、手術に匹敵する良好な成績が出ています。
通常の根治的放射線治療では6週間前後かかるのに対して、体幹部定位照射では4日間という短期間で治療終了できるのも大きな特徴です。(それぞれの治療には状況に応じて詳細な適応判断が必要です)
小細胞肺がん
根治的治療
「根治的放射線治療」に関しては病変が限局している場合(主に遠隔転移のない場合)に適応となります。可能であれば抗がん剤を併用します。非小細胞肺がんと治療スケジュールがやや異なり、1日2回(朝、夕)で3週間行います。病変が大きく放射線をあてる範囲が広い場合は抗がん剤のみで治療したのちに放射線治療を行う場合もあります。
予防的治療
治療効果が大きい場合(病変が著明に縮小または消失)には、脳転移予防のための予防的全脳照射(1日1回、2週間)を行うことが推奨されています。
Ⅳ期 肺がん(非小細胞肺がん・小細胞肺がん共通)
緩和的治療
遠隔転移のあるⅣ期では、骨転移や脳転移などにより疼痛または麻痺などの神経症状をきたすことがあります。その場合にも放射線治療は効果的で、それらの症状を緩和する目的で放射線治療を行います。
化学療法
- 対象
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- 進行期の方
- 手術が適さない方
肺がんの化学療法は主に進行期の方や手術が適さない方を中心に行われます。
近年、多くの抗がん剤が開発され、それぞれの肺がんに適した薬剤の選択が重要になっております。薬剤の選択は肺がんの種類である組織型や進行の具合(放射線治療を併用すべきか否か)によって異なって参ります。
一部の肺がんに分子標的薬も用いられるようになってきました。分子標的薬は採取したがん細胞を調べることによってその方のがん細胞に特有のがん遺伝子変異が見られた場合に使用します。
非小細胞がんにおいて特有のがん遺伝子変異が見られない場合は、通常の殺細胞性の抗がん剤で治療を行います。扁平上皮がん以外の場合には、通常の抗がん剤に加え血管新生阻害薬を併用することがあります。
小細胞肺がんでは限局型のものでは放射線療法と組み合わせて治療を行い、進展型では化学療法のみで治療を行います。