福岡東医療センター 化学療法室へようこそ

当院は、地域がん診療連携拠点病院として、古賀市を中心とした粕屋北部地域のがん治療の中核的役割を果たす病院です。
当院の化学療法室へお越しください。


東医療センターで行っている化学療法
各学会ホームページはこちら
乳がんの化学療法
1. 術前化学療法
腫瘍が大きく乳房温存手術が困難な浸潤性乳がんで乳房温存手術を希望する患者さんに対して、温存率向上を目的に術前化学療法を奨めても良いとされています。(ガイドライン推奨グレードB)
術前化学療法は術後化学療法に比べて同等の生存率が得られ、乳腺全摘率の低下と局所再発率の低下が認められています。がん種の特徴(ホルモンレセプター、HER2レセプター、Ki-67など)によって、使用する薬剤は様々です。
「抗がん剤は非観血的な治療なので、手術よりも楽なのでは?」と良く言われますが、どちらも楽な治療ではありません。手術は目に見えるものを切除しますので、その意味では安全と言えますし、抗がん剤は目に見えないところで危険な副作用をもたらす可能性があり、それは時として命に関わることがありますので、その意味でも危険と言えます。
たとえ、腫瘍が著しく縮小しても、基本的には手術が必要です。抗がん剤だけでの完治は難しいと考えられます。また、抗がん剤によって脱毛を生じることが多いですが、最近はウィッグ(医療用かつら)の品質も向上しています。詳細は看護師さんにご相談ください。
2. 術後化学療法
リンパ節転移陽性の乳がんに対して、アンスラサイクリン系抗がん剤にタキサンを併用する化学療法が推進されています。(ガイドライン推奨グレードA)
HER2陽性乳がんに対する術後の化学療法+トラスツズマブが推奨されています。(ガイドライン推奨グレードA)
高齢者でも余命期間、臓器機能、併存疾患を考慮し、効果と副作用のバランスを熟慮した上での術後の化学療法が推奨されています。(ガイドライン推奨グレードB)
ホルモンレセプター(ER, PgR)陽性、HER2陰性、 Ki67低値の乳がんは、一般に予後良好であり、化学療法の再発抑制効果が低いことが示唆されています。しかし、腫瘍が大きい、高度なリンパ節転移を認めるなど、再発のリスクが高い症例では、術前・術後の化学療法が推奨されています。(ガイドライン推奨グレードB)
3. 再発がん・切除不能がんの化学療法
転移(切除不能)・再発乳がんは、局所再発を除いては治癒は極めて困難です。化学療法後の10年生存率は5%程度です。従って、再発がん・切除不能がんに対する治療の目指すところは、生活の質(QOL)を維持・改善した上での延命ということです。
患者さんの個別性、患者さん・ご家族の希望、これまでに証明されている医学実証を熟慮して加療します。ホルモンレセプターンの状況、差し迫った生命の危険(life-threatening)、広範な肝臓転移や肺転移、がん性リンパ管症)の有無により化学療法の是非・内容を決めます。
がん再発を説明すると、「もう手術はできないのですか?」とよく、尋ねられます。「その手術で患者さんのQOLが向上する(局所のがん種の除去で痛み・出血・悪臭などの症状が緩和できる)可能性がある」場合は、行うことがあります。ただし、これはあくまで症状緩和の施術であって、再発がん種に対しては治癒を見込んでの手術ではありません。
よくあるご相談
取り残しなくがんの手術は成功ですと言われましたどうして化学療法が必要なのですか?
抗がん剤治療には大きく以下の3つがあります。
- 1. 取り残しや再発、あるいは最初から取ることが出来ないがんに対する化学療法
- 2. 術前の化学療法
- 3. 術後の補助化学療法
2と3は、がんがしっかりとれても術後の再発する確率をなるべく低くするための治療なのです。
紹介状は必要ですか?
絶対に必要というわけではありませんが、これまでの治療の経緯や使ってきた薬剤の情報を知るためにはこれまでかかっていた医師からの紹介状はあった方が診療がスムーズに運びます。
医療費が心配です…
医療費等についてはがん相談支援センターのメディカルソーシャルワーカーに相談することもできます。
地域住民でないと受診はできませんか?
どなたでも受診可能です。
外来でしか治療はできないのですか?
入院でも治療は可能です。使う薬剤や患者さんの状態で入院で行うか、外来で治療を行うかを決めることができます。
※ 薬剤が変更になる場合(初回治療)は基本的には入院しての治療です。
電話予約はできますか?
できません。まずは外来を受診していただき、患者さんの状態を診察してから化学療法を行います。
午後からの治療は可能ですか?
抗がん剤治療には短時間で終わるものから、朝早く初めても夕方近くまでかかるものまで様々です。
基本的には午前の早い時間から加療を始めています。もし、治療中や治療後に体調が悪くなった場合でも早い時間であれば、その後の検査や診療がより安全に行えるからです。
高齢ですが抗がん剤加療は可能ですか?
抗がん剤は若い方でも苦痛を伴うことがあります。加療を行うことで得られる利益が、高齢であることの危険性よりも勝ると判断されれば、抗がん剤加療を行うこともあります。
子供がいるのですが、預かってもらえる場所はありますか?
敷地内に保育施設があります。時間単位の受け入れに関しては直接お問い合わせください。
妊娠していますが、大丈夫ですか?
妊娠前期(4か月前)は施行すべきではありません。(ガイドライン推奨グレードD)妊娠中期、後期でも安全性は確立されていませんが、必要と判断される場合は検討はしてもよいことになっています。(ガイドライン推奨グレードC1)